患者と仲良しになる その2

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病院看護師ノセカイ

(写真は大昔の娘と息子。3連覇する前だから、席はガラガラだったよね)

さて、
おそらく一番可愛がってくれた患者さん。
高齢の女性でした。

整形外科病棟に急性腰痛で入院してきました。

入院当日って、
ものすごく痛くて、動くのもしんどいから病院に来てる。
だけど、入院するまでに外来で時間がものすごくかかる。
レントゲン、採血、診察…

入院が決まって病棟に上がってくるときには、へとへとです。
外来もバタバタしてるから、痛み止めを使うとしても

 患者から症状をきく
  ↓
 我慢できないと判断
  ↓
 外来診察中の医師に伺いをたてる
  ↓
 検査結果が出てないと何も判断できないじゃないか!と待たされる
  ↓
 他の患者対応などバタバタ…

こんなかんじで、
「病棟上がったらすぐに座薬使ってください、処方されています」という申し送りがくるのです。

検温をして痛みやしびれの有無などを確認しつつ、
アナムネ(患者基本情報)を収集しつつ、
指示のある痛み止めを使う。

いつもと変わらない対応をした。
患者さんはお客さんみたいなものだから、接遇も気を付ける、普通に。

そんな入院初日の対応が、とても喜ばれた。
痛み止めを使ってもらえた!ラクになった!と感謝された。

痛みが落ち着き、ベッドから動けなかった状態から徐々にトイレに行けるようになり、
リハビリ室へ行けるようになる。
元気に回復してきたころ、呼び止められては「紙に名前と住所を書いて!」と言われつづける。

個人的な御礼は不要。
御礼は受け取ってはいけないの。

医師はどんどん受け取ってたけどね。
お菓子もあれば、現金も普通にね。
術後すぐとか、患者家族は渡す機会を狙っているのがわかる。
それに気づかないふりをして、看護師は動く。

結果、わたしがその患者さんに連絡先を渡したかどうかは置いといて。

そのあと、その患者さんは退院してはまた入院したり。
出逢えば、笑って話をした。
夕方、病室の前を通れば、呼び込まれカーテンして、お菓子を口に入れられたこともある。

働いていた病院は、施設も併設していて、
すぐに自宅に退院できない場合は、そちらへ退院したり。

わたしが「CARPの前田智徳の大ファン」だと言えば、
その患者さんは「緒方の方がいい!」と言った。

わたしが整形外科病棟から他の混合病棟へ異動したあと、
ショートステイで施設にきていることを、偶然知ったときに
ちょうどCARP観戦に行く予定だったから(まだ旧市民球場)
緒方のキーホルダーを買って、仕事終わりに施設に会いにいった。

とても大喜びで、杖に緒方はくくりつけられ、揺れていた。
女性は何歳になっても、ときめくんだなって思った。

そのあとも、外来で会ったりしていたけれど、
いつが最後だったか、わからない。

後輩の看護師が、併設の特養に異動になり、
そのあと、その患者さんの話を聞いた。

基本情報には、市外に離れて暮らす娘さんと
近所に住む妹夫婦がいて、
本人は一人暮らしとなっていた。

でも実際は、障害のある息子さんと二人暮らしだったらしい。

そのことを一切口にしなかった。

いま、わたしは障害のある息子を育てているんだよ。
わたしが結婚したのも知らないはずだけど。

他愛もない笑い話ばかりしてきたけれど、
ちょっと息子さんの話も聞きたかったな。

世代は違うし、
どんな障害があるのかもわからないから、
どんな苦労をしてきたかわからない。
ただ、ひた隠ししてきた気持ちは、なんとなくわかるよ。

でも、障害についても
いろんな話を聞きたかったし、笑い飛ばしたかったな。
大先輩じゃないかー。

たぶん、もう今世では会えないんだろね。
でも、還ったらいっぱい話をしたいな。

忘れられない患者さん。

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